今井プロジェクト 進化と融合




特別対談 今井プロジェクト「進化と融合」目次

Vol.1 今井プロジェクトとは?
Vol.2 モノづくりの本質を追求すると、嘘がなくなる
Vol.3 レプリカは許さないけれども進化は認める 
Vol.4 「風が通る」先にデザインを持ってくる NEW(2011/6)

今井プロジェクトとは?

古民家再生から見えた家づくりの本質

大友: プロタイムズ総研には、住宅業界のプロフェッショナルが集まっており、お客様に対して、既成概念にとらわれない本質的なサービスを追求していくという理念があります。
いくつか、塗装業以外の住宅に関わる本質的なサービスを今後も展開していきます。

そして、当然今井俊介プロジェクトでもその理念は変わらない。ではいったい、先生と何をやっていくことが、消費者にとっての本質的なサービスとなるのか。 私が説明するまでもなく先生の経歴、実績は古民家再生のカリスマ的存在であったり、劇場や有名旅館、著名人の御自宅等、華々しいものですが、我々と何をや るのかを考える前に何の為にやるのかを明確にすることが大切です。

今日はいろいろお話させて頂きたいと思います。まずは、古民家再生の活動についてです が。きっかけはどんなものだったのですか。
今井: 14 年前に、あるきっかけで農村を頻繁に見に行く機会があったのですが、だんだん風景が変わって行くんですね。道路が舗装される。ガソリンスタン ドができる。最初は便利になって良かったとされたんですが、そのうちお婆ちゃん、お爺ちゃんが亡くなると、茅葺の建物がどんどんプレハブのような建物に変わって いく。
まわりからも、こりゃいかんのではないか。今井さん建築家なんだからなんとかせいと言う声があがりまして、それから非営利のNPOを始 め たんです。 それまでは劇場やビルが専門で住宅の設計はあまりやっていなかったんです。ただ、全国の古民家を200、300と見るわけですから様々なことが見えてくるんですよ。
   
大友: そのみえてくるとは、具体的にはどんなことですか?デザイン的に見えてくるんですか?

今井: 最初は古い、汚い、暗いとしか思わないんですよ。ただ、まずは部材の良さがわかってきます。再利用の価値を含めて、ひとつずつ大切な本質が明らかになっていく。やっぱり、良いものはいい。

大友: その過程をもう少し具体的に説明して頂けますか?

今井: 具体的に言うと、まず日本の住宅が全国どこへ行っても同じはおかしいでしょ?
断 熱性能が違うといっても沖縄も北海道も同じような仕様で 建てていて。そして、こんな国はないですね。世界中に。気候風土が地域で違うはずなのに、そんなことは無視して坪いくらではい作りますと。だから日本 はダメになったと言うのは簡単なんだけど。ただ、救いは今の若い人。大友さんより下の世代かな。

その世代の人達は実体験として古民家を知らない。大家族で住んだこともない。にもかかわらず日本のそういった空間が好きな人が多い。そして不思議なのは、今何万人とヨーロッパの人が日本に住んでいて、日本人以上に日本の住宅が好きな人が多くてね。

大友: 私が東京生まれの今38歳ですが、私の世代でも古民家に実体験で触れるという事は東京ではなかなかありませんでしたね。ただ祖父母が京都で旅館をやっていたので子供の頃から個人的には日本の建物に触れていましたし、思い返すと京都には外国人の旅行者が多かった。


モノづくりの本質を追求すると、嘘がなくなる

今井:
僕もヨーロッパやアメリカに行くとその土地の建物を見て、これは凄いと思う。なぜだろうかと考えたんです。文化や言葉もわからない、住んだ事もない。でもいいものはいい。そこで考えられることは、ウソをついていないものはいいと言うことです。
建築している人、デザインしている人、施工している人が建物を使う人にウソをついていない。

大友: ウソがない?どういったことですか?

今井: 儲けてやろうとか騙してやろうとか、そういったものがないんですよ。宗教の為でも、住む人の為でもとにかく目的や使い手の意向をわかって本気で技術 なり知識なりを駆使して設計や施工を実現する。そういったことをやっているという意味においては、法隆寺の建築もギリシャの建築も共通しています。だか ら、どうもそのへんを見て人は信用し感動し評価する。そしてその法則は世界共通なんではないかな。

大友: なるほど。ハウスメーカー、パワービルダーを例にして考えると、ものづくりではありますけど作品ではなく商品ですよね。まあ僕らもそういった世界にいたわけですが。
どうやって利益をとるのかが優先されての商業ベースのものづくりですよね。

大友: つい先日、ビックサイトで開催されたギフトショーを観たんです。これまではその時代ごとに毎回新しいアイデイアが商品化され脚光を浴びていましたが、今回人だかりを集めていたのは福井県の眼鏡産業のような、日本古来の職人的なものづくりを売りにしているところでした。こだわりというか、ものづくりの本質が評価されている。

シャープの亀山工場も中国への売却の件がニュースになりましたが一時、亀山モデルはシャープ以上のブランドになっていたし、亀山工場のものづくりの本質が評価され商売にもなっていました。
それも、ウソをつかない。ただしい良い物をつくるという本質が評価された結果、商売になった例ですね。

今井: 消費者の一般的な評価もそこになってきたということですね。

大友: 僕らの組織の共通言語に、表面的なものを見ない。本質的なものを見る。と言うものがあるんですが、表面的なものを見ないって凄く難しいんですよね。最近も、新入社員の面接をしたんですが僕の顔なんか見ると、ああ怖そう。とか思うそうですけど(笑)

今井: ああそれは僕も思いました(笑)

大友: そうですか(笑) それで皆社員が元気だよなんて言うと、ああ軍隊みたいな集団なんじゃないかと、表面的には見えるらしくて。ただ、真実はどうかと言うと僕なんか声を荒げたことなんか一度もないですし。なぜかというと、そんな事すると部下が官僚化して、把握をするという仕事が機能しなくなるからしない訳ですが、それを最初から見抜くって難しいですよね。なぜなら、表面的な見た目のインパクトがあるからでしょうけど(笑)
今井: 人は見た目が9割ってありましたもんね。

大友: そうです。あれも、本質は、見た目で9割わかるということではなく見た目の9割を通り過ぎて1割の本質を見抜くことが難しいと言う本ですね。
先日、サッカーの代表戦でザック監督のマネージメントが取り上げられてましたけど、選手の感情を掴んでいて凄いんですが、たぶんあれは通訳の人をとおして言葉のみのコミュニケーションではなく、ザック監督は言葉のやり取りをしながら本心を探る洞察心が動くんだと思いますね。言葉にとらわれずに。そして、あれはサッカーの名監督だからではなく、今や一般に消費者が持っている力でもありますよね。本質を見抜く。

今井: そうですね。ただ、迷うとすぐ忘れちゃったりもすると言うことを感じますね。
その中でも、鋭い人は持ち続けていると言うか。
だって、初対面で分かり合えるってゼロから始まる訳じゃないと言うんですよね。
コミュニケーションで、「あ、そうだ・わかる」わかるってもともと自分も持ってるからこそわかるわけであって。持っていなければわからない話ですよね。

大友:  まさに、そうですね。

今井: 日本の良さって、世界中が理解しているわけでそれをプロタイムズ総研で再整理してほしいな。


レプリカは許さないけれども進化は認める

大友:  今日は、第1回目の我々と先生のお話しの場ですが、
まずは、いったいこれから何をやっていくのかの土台と言いますか。
 先生と何かやるにしても、まず一番根っこの理念を共有させたいですね。表面的な戦略、戦術ではなく一番本質の理念の部分を。まず、ビジネスではありますが利益至上主義はプロタイムズ総研の理念に合わない。
 そこにはベースとなる考え方の共有がなければならない。先程の先生のお話にあった、良いものはウソつかない。本当のもの、本質は評価されるという、そこに尽きるのかなと思いました。我々の言語で言うと、本質を追求するということなのかなと。誰かに媚びて何かをやるのではなく、本気で本質を追求することが、お客様に評価される。
今井: それではその件の参考になる二つのことをお話ししますね。
僕はまだ10年ほどですけど、古民家再生の先駆者として40年くらい前からやっている人がいるんですよ。彼は、今そうではないかもしれないけど、7,8年くらい前までは白い壁であればいいという人だったんですよ。極端なこと言うと、ベニヤの上に白いペンキを塗れば、漆喰に見えるじゃないかということなんですけど。じゃあ彼が古民家再生の良さをわかってないかというと、そうじゃなくて、古民家の良さを理解し始めたけど、方法が違ってたと。
 もうひとつは、逆に古民家再生は土塗り壁じゃないとダメだという人がいる。
拘りすぎて発展がない。実際に土蔵づくりなんか湿度調整はできているし冬暖かいし、夏は涼しいしこんなに環境の良い住宅ないんですね。窓の小さいから暗いけど、それは今の技術でなんとでもなると思うし。だから、土塗り壁でなければと頑張っている人もいる。ただ、それは今の時代に経済的にも時間的にもあまりにも現実的じゃない
 古民家といっても一万年前からあったわけではなくて江戸時代に発展したもので、それは江戸時代の経済状況、文化の中で発展してきたのであって、現代は鉄骨造りやコンクリート造りもあるし、土蔵造りが良いというのであれば土蔵造りじゃないもので土蔵造りと同じ良さのものが出来るかもしれないと考えるべきだと思うんですよ。だから、古民家再生にもアルミサッシュも持ってくるし、ガラスも使うし。そのことはいっこうにかまわないと私はおもっているし、それはなにかって言うと、発展するものですから本来、建築と言うのは。

大友: 今の二つのお話は、紙一重ですよね。

今井: そうなんです。紙一重だからこそ危ないんです。

大友: 最初のお話は、古民家再生の扉を開いた方のお話ですよね。扉を開けた功績はあるが、ただ、理念を追うのかファッションを追うのかといえば後者の方に近いのかなと。

今井: そういうとらえかたもありますね。

大友: まぁ単純に言うとですが。
そして、二つ目のお話も理念かファッションかだけで語るのであれば、今井先生もファッションを取るよと取られかねない紙一重のお話じゃないですか。それについては、もう少しご説明して頂ければ。一言で、それは俺のこだわりなんだと言う言い方もあるでしょうし。

今井: こだわりって言葉、流行りすぎてますからね(笑)
でもね、一言で言わないといけないんですよね。世の中って。だから、100時間話しは出来るけど、どれじゃあなにも残らないからね。難しいでしょ?今の話って。

大友: そうですね。ただ、本質を追求すると言っても世の中は矛盾で成り立っているわけで、矛盾を受け折れられない人は社会生活が難しいと思う。僕もよく、本質の追求を社員に言います。ただ一方で矛盾を受け入れられる許容性がなければダメだともいう。これこそまた紙一重ですけどね。
そして今の二つのお話に戻ると、本質を追求しすぎてもお坊さんの世界になりますね。

今井: 宗教法人ですね。株式会社じゃできないですね。(笑)
予算の制限もある。時間もある。やりとりの回数の問題もあるいう中で、それでも良い仕事をしましょうというわけですからひとつのキーワードは、わかりやすさですよね。

大友: 先生のお仕事は、ものづくりであり、商売でありと。ただ、追求する仕事って期限がきられた瞬間にどこかで矛盾が生まれますよね。極端に言うとテーマを作品にしますよと言っても一生かけてよければ、一生かかってしますよね。

今井: そうなんです。今日より明日のほうがもっと良くなるなら終わらないですね。

大友: 期限がある。納期があるなら、しっかりそこに仕上げるよというのはプロであるからこそである。という部分が先程の二つの話を生むんですかね?

今井: 土塗り壁が悪いんではなく、発展させなければならないんですよね。今の時代の中で。
土ではなくなると思うし。厚みも変わってくると思うし。時間の制約もある中で、じゃあなんなんだと。
日本は昭和初期から、発展が止まっているん出すよ。それをぶち壊したのは戦争なんだけど、戦争だって言うとんあでも戦争になっちゃうけど。昭和4年から25年の20年間で壊れちゃったんだけど、ちゃんと復興しなければいけない中で産業復興の中で、都市公団をつくり、ハウスメーカーが出てきて、輸入住宅とかになっちゃった。戦後の復興の一時的には人々の生活改善おために大いに力になったと思いますがもっと、日本分をたいせつにした方向に発展してくれれば良いんですけれども。

大友: 今のお話をお聞きして、先程の二つの先生からいただいたお話を思い出したんですが整理すると、前者の方はレプリカじゃないですが、レプリカは許さないけれども進化は認めるよというお話ですよね。

今井: その違いです。

大友: つまり先生的には古民家とか日本の良さの進化はやるけれどもレプリカはやらないよ、という意味でとらえて大丈夫ですね?

今井: はい、大丈夫です。


「風が通る」先にデザインを持ってくる 

大友: 表面的なレプリカはやらない。ただ進化については、追求していく。本質的なテーマですね。方向性はプロタイムズ総研も同じです。
デザイナーズ住宅ってあるじゃないですか、先生からみてああいうのはどうみえますか?

今井: 天井が高いとか光が入るだとかね、普通の建物にない機能をいっぱい持たせている。それはいいけども、その先に何があるのか、その手前に何があるのか、デザイナーズ住宅の中に歴史と文化を感じるものが少ないわけですよ。

大友: 歴史ですか?

今井: つまり気候風土への配慮が少ないんですよ。まあ、ある人もいますよ。ある程度の。だからそれを日本の古民家再生と繋げるのならば、日本人が作ってきた文化、十分かの延長線上にあるもので作れたデザイナーズ住宅であれば、良いものができるんじゃないかと。

大友: あーなるほど。
それはデザイン的にいいということですが?
いいものとはどんな意味ですか?

今井: デザイン的でもいろいろな部分でも僕は変わってくると思いますよ。
具体的に言うと、一例を上げれば風が通る。風ですね。

大友: 風が通るっていうのはどうも僕らが通常イメージするデザインとは違い概念じゃないですか?

今井: いや、その先にデザインを持ってこなきゃいけない。風が通るっていうのは、右に窓があって左に窓があれば風は通ります。でもそれは事実の風が通るのであって、風が通る住宅というのは、要はその気流から湿度から何から体験的なことも含めて人間にあったのが、日本の気候風土の中でデザインがあればいいなと思いますよ。窓があるって風が通る空間ですよね。

大友: まだ僕らはそういうデザインの意味って分かっていないかと思うんですが、風が通る、って言うことも多分先生の中ではデザインの中のくくりになるんですかね。
デザインの一要素というか。

今井: そうですね。
僕らからすると逆に、風とデザインっていうのは、分けられてしまう認識がない。


大友: 一般的に先生の認識の逆と思います。

今井: 僕の中では真剣にデザインとは機能であり歴史でありと言っていますけど。

大友:  理念のような部分ですから、そこにこだわらなければいけませんよね。
今のお話と真逆に、デザインとは見た目であると。そして機能性は見た目以外って言う言い方が一般的であると思います。
先生のお話を聞くと、目に見えるものと見えないもの。見えるものがデザインで見えないものがデザイン以外、という考えは間違いだと捉えていいんですよね。

今井: そうですね。









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